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side.Tamotsu 「あの時─────」 ぽつりと、キスの合間に上原君が語ってくれたこと。 学校に現れたマキ君を、興味が無いが故に、敢えて好きにさせてしまったことへの後悔と…。 陸人君とのキスの件を知った経緯だとか、僕が気になっていた事を色々と説明してくれた。 話した後、自分に非があったと何度も謝ってくれた、上原君だったけれど…。 「高月の事とか…お前が絡むと、すぐ理性飛んじまうからさ…」 本音を晒せば、お前を独占してしまいたい。 誰にも触れさせず、自分だけを見ていて欲しい。 包み隠さない彼の欲に、改めて触れた僕。 気持ち悪いだろ、情けないだろって上原君は自嘲するけれど… 寧ろそんなことはなく…素直に嬉しいって、僕は思ったんだ。 今回の事だって元を辿れば、僕が弱いばかりに上原君に愛されてるっていう自信が…持てなかったから。 結果的に、擦れ違ってしまったわけだし…。 「僕も、ごめんねっ…」 陸人君からの好意すら、ピンとこなくて。 だからって上原君の気持ち考えず、軽率な行動ばかりしていたと思う。 曲がりなりにも恋人同士なんだから…。 相手を想うなら、それこそちゃんと本当の気持ちは、吐き出していかなきゃダメだったんだ。 「いいさ。これから先は長ぇんだし…な?」 目まぐるしく時間が過ぎたけど、まだ付き合って1ヶ月と少し。 時が経って、どんどん関係が深まり好きが増えれば。お互い嫌な部分だって、見えてくるかもしれない。 「情けねぇ話、今回のはかなり参ったけどよ…。今までの自分を反省したっつうか、良い教訓にもなったしな。まあ…結果オーライってヤツだから、こんな風に言えんだろうけど…。」 「うん、そだね…」 こつんとおでこをくっつけ、視線を交わす。 久しぶり…って言っても、大した時間でもなかったはずなのに。 まるでもう随分と長い時間、触れてなかったかのように…擽ったい。 見上げれば、はにかんで返すキミ。 なんだか付き合い始めた頃みたいで、お互い遠慮がちにではあったけれど…。 じゃれ合うよう頬を擦り寄せ、それからはごく自然に。僕らはどちらともなく、口付けを交わしていた。 それはそれは、甘くて愛おしい…啄むようなキスを。 「保…」 「んっ…」 触れたまんまの唇が、僕の名前を囁いて。 とろんと吐息混じりに返事をする。 「本当は、今すぐにでもお前を抱きてぇ…けど、」 さすがに無理はさせられないだろって、気遣ってくれる上原君。 そんなことない、キミが望むなら僕は平気だよって…応えようとしたのだけれど。 「や…いいんだよ。今は……」 繋がるだけが恋人同士の営みではない。 こうして触れ合えることが、どれだけ幸せなことか。 それでも本音は上原君と同じ、僕だって実は欲に任せてみたいなとは、思ったけど…。 「好き…大好き…」 「ああ、俺もだ…」 アイシテル───普段は恥ずかしさが邪魔をして。なかなか口には出来ないような愛言葉を。 そんな昂る想いを柔らかなキスと愛撫に馳せ、互い確かめるかのように。 僕達は何度も何度も、重ね合わせた。

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