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第11話 蓮side戸惑う恋心
俺は気が多い方じゃ無い。どちらかと言うと一途だと思う。バース性は当然の様にアルファだった俺は、長男がオメガだったせいで、資材輸入業の虻川商社の跡継ぎになってしまった。
中学生になってバース判定通りに俺とは違う体型になっていった兄貴と、小さい頃から父親似のガタイの良いマッチョ体型で予想は十分出来た。
思春期に兄貴のΩとしてのアルファへの接し方を見て、何だかムズムズしてきた俺はΩを避ける様になった。涼介もΩの弟がいるけど、あっちは年も離れた弟だ。
二歳違いの兄貴が急に、周囲に色気出してくるのを感じるのとは違うだろうって事だ。そんなこんなで俺は好奇心のまま若気の至ってやつをαとベーターに限定する様になった。
俺はアルファにしては怖く無いのか、結構βにモテる。中学時代は気が向けば遊ぶ事はあったけれど、あっという間に飽きてしまった。
身体だけの関係ってなんか虚しい。俺はもっと心も一緒に満たされたいんだ。俺の好きな相手をぐずぐずに蕩けさせて、ご奉仕して、崇めたい…。
そんな俺も、中三の時に男の後輩にお願いされて関係したけど、その時なぜ承諾してしまったのか自分の無意識の心の内を知って愕然としてしまった。
後輩は身体つきが涼介に似ていた。頭が小さくてバランスの良い身体。丁度髪型も似てた。俺は後ろから突きながら妙に興奮してしまって、それが涼介に似てたからだって気づいた時の後ろめたさは半端なかった。
その事で、涼介自身にも、壱太にも揶揄われて…。ぎこちなくなってしまったのもしょうがないだろう。でも涼介は女の子としょっちゅうデートしてたし、俺のこの気持ちは胸の奥に閉まっておこうと思ったんだ。
それなのに、高校生になって涼介が男と寝てるって知った時の衝撃は酷かった。しかも嬉しさよりも、なんて言うか裏切られた気持ちというか。
俺のかすかに感じていた涼介への恋心は、その日を境に俺を支配して、同時に苦しみの日々のスタートとなったんだ。小学校からの、ある意味切っても切れない親友枠の男に、好きだと言って押し倒す度胸は無かった。
でも話の端々に出る様になった、涼介の奔放さに俺は無意識に奥歯を噛み締める羽目になった。そして同時に、時々涼介に似た相手を探して後ろから突き上げるのが後ろめたくも興奮して、我ながら終わってる…。
ああ、どうすんだ俺。
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