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第30話 お試し
少し驚いた蓮の顔を、してやったりな気持ちで見つめて俺は言った。
「…お試ししてみようか。いくらお前が俺の事好きでも、エッチの相性が合うかどうかはわかんねぇだろ?俺も、そこは譲れないし。お前にとってもな…。」
蓮は俺をソファに押し倒すと、俺の両手をひとつにまとめて頭の上で押さえつけた。ああ、何でこいつ俺の好きな事してくるんだろ。
蓮は細めた色っぽい眼差しで俺を見つめて言った。
「お試しってどこまでいいの。涼介が立てなくなるまで?…好きだろ?そういうの。」
俺は期待と、親友の蓮とそんな事をする背徳感で何だかゾクゾクしてしまった。そんな俺に蓮は普段見せた事のない艶めかしい笑みを浮かべると俺の股間に膝を押し当てた。
誤魔化しきれない覚醒した俺の昂りを柔らかく押さえられて、俺は声にならないため息をついた。それもそうだ。葵と別れる前から会ってない時期があったから、二か月ほどしてなくてご無沙汰だったんだから。
長くても一週間と明けず致してた俺にしてみれば、どれだけ禁欲中だったかわかるってもんだ。それもあって、俺は直ぐにスイッチが入ってしまった。
でも目の前の蓮はうっそりと苦笑いして言った。
「お前の願いを叶えるのはやぶさかではないけど、お試しなんかでしたらセフレになりそうな気がしてきた。俺はそんな関係は望んでないんだぜ?涼介。
俺が望んでるのはお前のこの身体と、お前のこの場所を俺だけでいっぱいにする事だからな。」
そう言って、俺の心臓を指先で押さえた。
「…そうだな。今日のところはキスだけにしておくか。言っとくけど、だからって他のヤツとするなよ?もう少し俺に時間、くれるよな?」
そう言いながら、身動きの取れない俺に覆いかぶさってきた蓮は、いきなり貪る様なキスをしてきた。ウッド系のスパイシーな香水が蓮から感じられて、ああ、この香水は俺が高一の誕生日に蓮にあげたやつだとすぐに気づいた。
香水売り場で自分のものを選んでる時に、この匂いが蓮にぴったりだとしか思えなくてプレゼントしたんだった。あの時蓮はこれが俺のイメージなのかって、戸惑う表情だったけれど、あれ以来気に入って使ってくれていたのかな。
そんな事を考える余裕があったのは最初だけで、俺はいつの間にか拘束されていた手首も離されて、蓮にしがみつく様に蓮の首に手を巻き付けていた。
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