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side. Subaru
「で?お前なんで、んな暗ぇの~?」
「え…?」
思えばこんな風に、
森脇とふたりで話すのは、初めてな気がする。
俺が入学してまだ1ヶ月そこら。
それ以前から晃亮を介して、多少の親交はあったものの…ろくに話したこともなかったのに。
まさに森脇の台詞は、俺の心情の的を射ており。
驚いた俺は言葉を失い、思わず森脇を凝視した。
そんな俺の反応が面白いのか、カラカラと森脇は笑う。
「ん~ビックリした?土屋は空気読めない痛い子だけど。俺は空気読めすぎて、もっとイタい子なのよ~?」
何処まで本気なのか解らぬ口調で語る森脇。
いたたまれない俺は、目線を逸らすしかなく。
顔に出すような性格じゃ無かったのに…
そこまで落ち込んでいたのかと。
更に自己嫌悪へと陥った。
暫く会話も中断して、
ふたり静かに空を流れる雲を眺めていたら…
森脇が独り言のように呟いく。
「晃亮も、この頃変だよね~?」
ゾクリと肌が粟立つ。
誰も気づかないと、俺にしか解らないと思っていたのに。
今度はあからさまに動揺した為、森脇にまた笑われてしまった。
「解らねぇと思ってるっしょ~?その通り!お前らマジ無表情スギ~!」
「じゃあ、なん、で…?」
ニヤリと笑って焦らす森脇。
急かすよう睨みつけると、
「昴コワーイ!」と両手を上げて茶化してきた。
なんだか俺の扱いが土屋のとダブる…。
「ホラホラっ、可愛い顔が台無しよ~昴キュン!」
「黙れ…」
コイツの中で、俺と土屋は弄られキャラなようだ。
こういうノリツッコミは苦手なハズなんだけど…。
「だから~普段から顰めっ面過ぎるから、逆に解っちゃうの!オーケィ?」
つまり森脇は、俺や晃亮の
微々たる気持ちの変化に気づいていると…
そういう事なんだろうか?
「あ~あれだ───…コンビニで飴くれた人。」
あん時からじゃね~?と、自信あり気に話す森脇。
ここまでくると逆に感心する。
どちらかと言えば、森脇も俺や晃亮と同じで。
他人に対して我関せずな人種だと思っていたのに…。
「あの人、お前の知り合いみてぇだったけど。実際どうなん?」
「別に…前にコンビニ来たときに、知り合っただけだ。」
2年前の事は、言えない。
それは、あの時あの場所に居合わせた…
晃亮にだって気づかれていない事だったから。
森脇の気遣いか、それ以上勘ぐるような態度はなく。
「ふ~ん、まぁ…なんか楽しいヒトだったもんね~。」
と、いつものように軽く受け流してくれた。
短くなった煙草を地面に押し付け、灰皿変わりの丸缶に投げ捨てる。
そのまま仰向けになると、
森脇はぼんやり空に向かって呟いた。
「壊さなきゃいいな…」
「……………」
何処まで気づいているのか、
それが何を指すのかは、計り知れない。
けど、
その言葉は、俺が切に願うものだったから。
森脇はずっと空を見てたけど。
そこは素直に、頷いておいた。
「そういえば土屋は?」
「ん~…なんか色々ショック受けて寝込んでるから置いてきた~。俺のが体チョーダルいのにさ~。」
「?」
「気にしないであげて~。ほっときゃすぐ立ち直れるだろうから~。」
この話題については、全く理解出来なかったが…。
予定外に森脇がいてくれたお陰で。
ほんの少しだけ、心が晴れた気がした。
この後に、
奈落の底へと
突き落とされるとも…知らないで。
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