33 / 88
31
side. madoka
「ふ、えっ…く…ッ…」
「円サン…」
これは3人分の涙。
苦しくても辛くても、
泣き方すら解らないキミ達の分も全部。
だから止まらない。
「ごめんなさい…貴方にはずっと、笑ってて欲しかったのにっ…」
ポツリとオレの手を濡らした雫。
見上げたら、キミもちゃんと泣いていて。
込み上げる、何か。
「自分を…責めないで?オレは何も知らないから。キミ達の力には、なれないかもしんないけど───…」
これだけは知ってる。
「キミは…とても素敵だよ。」
だからそんな痛そうな顔はしないで?
そう言って昴クンの頬に伝う涙ごと、両手で包み込んであげた。
「円サン…」
じっと見つめ合う。
とても綺麗な顔だけど。
何よりもその瞳が、一番キラキラしてて透き通っているなぁって。ぼんやりと魅とれてたんだけれど…。
躊躇いがちに、その端正な顔が近付いてきたものだから。
何故だろう…
オレは何を思ったのか。
気付けば自然と目を閉じて、そのままの流れに…
身を任せてしまっていた。
「ンッ……」
互いの唇が、触れただけのキス。
なのに妙に甘く。
全身溶けそうなくらい熱くって…
トクンと胸が高鳴った。
「…っあ………」
すぐ離れてしまうから、
分かり易いくらい名残惜しそうに、キミを見上げたら。
「んふっ─────…」
目が合った昴クンは、ゴクリと喉を鳴らすと…
オレが望んだ通りの、
深い深いキスを与えてくれたんだ。
「ふ、ぁっ…んンッ……」
晃亮クンに何度となく奪われたキスは。
甘い響きなんて微塵もなくて。
ただ食い尽くされるだけの、乱暴なモノだったけど。
どうしてだろ?
昴クンとのソレは、とてもとても心地良くて。
込み上げる熱で思考がとろけてしまいそうだ…。
「んッ…」
いくら永いキスでも、やっぱり終わりがあって。
昴クンも名残惜しむかのように、ゆっくりと離れていく。
「そろそろ、帰った方がいい…」
深夜0時。
晃亮クンは気まぐれな人だから、
必ず朝帰りするとは限らないし…
仕方ない、よね…。
「タクシー、呼びますね…。」
立ち上がろうとした昴クンの服を、思わず引っ張っぱり。不思議そうにオレを見下ろす昴クンに向けて、
「もういっかいだけ…ダメ…?」
「ッ…─────!」
お願いしたら、昴クンは顔を真っ赤にして。
一時してから…少し強引に腕を引かれたかと思うと、
さっきよりもっと激しく、唇を奪ってくれた。
どうしてかは解らない。
唐突なキスの理由も、オレに惜しみない優しさを向けるキミも。
けど…今はコレで良いのかなって思えるくらいに。
許される限り、一瞬の間でさえも。
キミとの口付けに。この身を任せていたかった。
ともだちにシェアしよう!