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side. Subaru 「晃亮が中学卒業を期に、親が色々理由をつけて実家から追い出されて…」 必然的に俺も行くってなったら。 喜んで親達は、手に余る生活費とマンションを投げて寄越した。 ひと通り事情を話し終えると、遥サンは目を閉じ何か考え込んでいて。 円サンは真っ赤な顔で…必死に涙を堪えようとしていた。 きっと円サンのそれは、軽い同情なんかじゃなくて。 だからこそ必死で泣くのを我慢しようとしてくれてるんだと、解ってしまうから…。 「円サンは、“2年前”の事を…覚えてますか?」 「え…?」 質問された円サンは、疑問符を浮かべ難しい表情をしてしまったが…。 「2年前…」 思い当たる伏があるのか、 その話題には遥サンが食いついてきた。 「2年前って言えば───…円、お前が不良共に暴行された時じゃねぇのか?」 「あ、そか…」 言われて気付いたのか、納得して頷く円サン。 「そうです…俺はその日、その場所にいたんです。」 というか、あれは全部…俺が招いた悲劇なんだ。 クソみたいな親元を離れ、 自由と勘違いして荒れまくってたあの頃。 中学2年の俺は、反則的に強かった晃亮に憧れていて。 自分にだって何でも出来るんだと… 粋がってるガキだった。 2年前… その日も自ら無謀な喧嘩を、仕掛けていった。 初めは5対1。 晃亮なら10人相手にしても、当たり前に叩き潰していたから。半分ならわけないだろうと…自惚れてた。 けど───… 仲間を呼ばれ、相手の数が10人を越え出した頃。 流石に焦り出すも時既に遅し。 一転して俺は、窮地に立たされていた。 薄暗い、通行人もまばらな路上裏。 建物の隙間、けれどすぐそこには大通りが見えるのに。 ここは獣道。 多勢に無勢の圧倒的な暴力の下、それらを咎めようとする者なんて誰一人いるわけがなく。 (俺、死ぬのか…) たかが喧嘩で、初めて恐怖を抱いた瞬間───… 『え…?』 地に膝を付き、絶望する俺の前に立ちはだかる両足。 見上げたその姿は、学生服を纏った、 自分よりも小さくて、幼い顔をした… ごく普通の少年だった。 『もうやめて。』 普通のヤツなら恐怖してしまう場面なのに。 ブレも無く、澄んだ声で強く言い放つ少年。 (何してんだ、コイツ…) バカじゃねぇの…名前も知らない他人の癖に。 こんなつまんないヤツの為に、のこのこ出て来て… 『んだ、てめぇ?』 ほら、やっぱり潰される。 弱いなら、黙っていればいいんだ。 そうすれば、そのうち飽きられて。 相手にもされなくなるのに。 (なんでかまうんだよ…) ソイツは俺よりひ弱そうな身体で。 必死になってギュッと俺を、その胸に抱いて隠し。 俺が受けるべき苦痛の殆どを、自らが受ける。 『バカ…逃げろって…』 呆れつつも声を振り絞り、 ソイツから離れようとしたら。 『大丈夫だよ。』 喧嘩なんて、無縁な生き物だろうに。 俺よりもボロボロになって、それでも笑ってて───… その細い腕を、更に強く結ぶんだ。

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