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第一章・4

「お父様は、どちらへ?」 「私はしばらく隣室の、控えの間で過ごすよ。若者は、若者同士で歓談しなさい」  そう言って、回廊を右に曲がってしまう父だ。 「やっぱり、変なお父様」  小首を傾げつつ、麻衣は大広間のドアをくぐった。  きらめくシャンデリアの連なる、まばゆい光の渦に飛び込んだかのようだ。  奥ではジャズオーケストラが、小粋なナンバーを奏でている。  その中に集う、人、人、人。  誰もが美しく着飾り、大理石の床を埋めている。  不審な父の様子も忘れ、麻衣は浮き立った。  こんなに盛大なパーティーに出席するのは、久しぶりだ。  しばらく人の間を縫い、その足を広間の中ほどまで進めてみた。  そこで気づいたことは。 「何だか、若い人ばかりだなぁ」  父の言葉が、思い出された。 『若者は、若者同士で歓談しなさい』  若者ばかりのパーティー、ということは。 「もしかして、これは。マッチング・パーティー?」  麻衣は、もう少し気を配って周囲を見てみた。  二人組で、少し離れた場所で話し込んでいる人がいる。  ジャズに乗って、スウィングを楽しむペアがいる。  麻衣の思った通り、これは飛鳥家が開いた、若者向けの婚活パーティーだった。

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