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第二章・2

 響也の、元・婚約者たちは、口々に同じことを語るという。 『響也さんは、とてもお優しい方です。ただ……』  ただ、私を愛してはくれなかった、と。 「詳しい内情までは、彼女らもさすがに話さないけれど」 「子どもに恵まれなかったのは、飛鳥さんの方に何か問題があるのかもしれないね」  そう言い残すと、男女は麻衣から少し離れたグループの方へと、歩いて行った。  残された麻衣は、じっと響也を観察した。  高身長の上に、鍛えられた逞しいボディ。  やや長めの黒髪には、柔らかなウェーブがかけてある。  彫りの深い顔立ちは、目が大きく鼻も高い華やかな印象だ。  優雅な所作に、穏やかな笑顔。  ただ……。 「ただ、あの笑顔は、作られたものだ」  そう、麻衣はつぶやいた。  心からの、真の笑みではない。  目が、笑っていないのだ。  そんな印象を、麻衣は持った。  やがて、じっと見つめる麻衣に気づいたのか、響也がこちらを向いた。

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