11 / 230
第三章・2
「さすが、飛鳥さんだ。ついには宇宙にまで、手を広げられるなんて!」
「この国は、その方面では海外に後れを取っていますが、そうなると!」
「飛鳥グループが参入されるとなると、一気に技術が加速しますわね!」
口々の賛辞に響也は微笑みで応え、そして改まって麻衣を見た。
目を輝かせ、素敵な未来予想図を頭に描いている少年に、問いかけた。
「麻衣くん。君なら、宇宙にどんなビジネスを展開する?」
わずかに、周囲の温度が下がった。
飛鳥さんは、この少年を試している、と感じ取っていた。
そしてそれは、当の本人・麻衣にも伝わっていた。
(どうしよう。何て答えるのが、ベストなんだろう)
麻衣は頭の中で、目まぐるしく思考した。
模範解答は、いくらでも思いつく。
賢い自分をアピールするには、いいチャンスだ。
だけど……。
(そんな風に、飾った僕を見せたくないな)
金ぴかを装っても、メッキはいつか剥げる。
それならいっそ、変な子だと思われてもいいから、素の自分を知って欲しい。
そう判断した麻衣は、にっこり笑って答えた。
ともだちにシェアしよう!