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第三章・2

「さすが、飛鳥さんだ。ついには宇宙にまで、手を広げられるなんて!」 「この国は、その方面では海外に後れを取っていますが、そうなると!」 「飛鳥グループが参入されるとなると、一気に技術が加速しますわね!」  口々の賛辞に響也は微笑みで応え、そして改まって麻衣を見た。  目を輝かせ、素敵な未来予想図を頭に描いている少年に、問いかけた。 「麻衣くん。君なら、宇宙にどんなビジネスを展開する?」  わずかに、周囲の温度が下がった。  飛鳥さんは、この少年を試している、と感じ取っていた。  そしてそれは、当の本人・麻衣にも伝わっていた。 (どうしよう。何て答えるのが、ベストなんだろう)  麻衣は頭の中で、目まぐるしく思考した。  模範解答は、いくらでも思いつく。  賢い自分をアピールするには、いいチャンスだ。  だけど……。 (そんな風に、飾った僕を見せたくないな)  金ぴかを装っても、メッキはいつか剥げる。  それならいっそ、変な子だと思われてもいいから、素の自分を知って欲しい。  そう判断した麻衣は、にっこり笑って答えた。

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