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第三章・4
正直、18歳のオメガ少年など、眼中になかった響也だった。
写真の麻衣を愛らしい子だとは思ったが、結婚となると話は別だ。
女性の方が妊娠しやすいし、流産の可能性も低い。
そんな理由から、婚約者候補からは最初から外していた。
選ぶなら、第二性がアルファの、優秀な女性を。
こう、思い込んでいたのだ。
だが実際の麻衣を見て、その人柄に触れて、響也は自分でも思ってもみなかった行動に出た。
考えるより先に、動いていた。
料理が運ばれてきて、人々の気がそちらに逸れた時のことだ。
「麻衣くん。これを」
「何でしょうか」
「一人で、そっと読んで欲しい」
響也は、麻衣に四つ折りにした小さな紙片を渡していた。
それきり彼は離れてしまったので、麻衣は不思議に感じつつも紙片を大切にポケットへ入れた。
そして、広間の隅にいくつか設けられた、休憩用のソファに腰掛けた。
「ハズレ、とか書いてあったら、空しいよね」
そんな風に小さく笑いながら、全くの無防備で響也から渡された紙片を開いた。
『パーティーが終わったら、ぜひ二人きりで会いたい。控えの間に迎えを寄こすので、待っていて欲しい』
麻衣は、我が目を疑った。
「こ、これって……!?」
まさかの、響也からのお誘いだった。
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