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第四章・2

「早乙女 麻衣さまは、いらっしゃいますか?」  男は、響也の使いの者だった。 「飛鳥様のお部屋へ、ご案内いたします。どうぞ」 「お父様。僕、行ってきます!」 「待ちなさい、麻衣!」  親子の何やら揉める様子に、男は困り始めた。 「あの、どうかなさいましたか?」 「どうしたもこうしたも、無いよ! 君、飛鳥さんに伝えたまえ。息子は渡しません、と!」  父親の剣幕と、その言葉の内容に、男の顔は一気に青くなった。 「それは困ります。麻衣さまをお連れしないと、私は一体どうなるか!」 「君の事情など、訊いてはおらんよ」 「最悪、お暇を出されてしまいます! お願いします。つい先月、娘が生まれたばかりなんです!」  今度は父が、男の剣幕に押された。  確かに『青髭公』の響也なら、やりかねないと思ったからだ。

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