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第四章・3

「お父様。今回は、この方に免じて、僕を行かせてもらえませんか?」 「しかし……」 「別に、今すぐに結婚式だ、というわけではないんです。それに……」  それに、響也さんが僕を気に入ってくださるとは限らない、と麻衣は言った。 「少しお話ししたら、興味が失せてしまわれるかも」 「なるほど、そうか」  父は頷き、麻衣に良からぬ入れ知恵を始めた。 「なるべく、嫌われるように振舞いなさい。音を立ててお茶をすするとか、静かなシーンでおならをするとか」 「もう! 嫌ですね、お父様ったら!」  それでもやはり、父は父だ。  麻衣を心配して、今夜はこのホテルに泊まることにした。 「フロントには伝えておくから。飛鳥さんとの面談が済んだら、私の部屋へ戻っておいで」 「はい。ありがとうございます、お父様」  父は心配そうに、麻衣は笑顔で、控えの間を出た。

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