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第五章・3
食事をしながら、響也は麻衣に話しかけた。
「麻衣くんは、そんなに私と結婚したいのかな?」
「はい。それはもう」
うん、と複雑な心境の、響也だ。
「それは、早乙女家のため? 家を救うためなのか?」
「それもあります、けれど……」
麻衣は、先ほど夜景を見ながら考えたことを、響也に打ち明けた。
無数の光の下で生きる、人たち。
その中に、早乙女の看板を背負って働く人もいる。
「彼らを救うためには、響也さんと結婚して。そして、経済的な支援をしていただく他ないんです」
なるほど、と響也は長い指を組んだ。
「若いのに、しっかりしてる」
「いいえ。僕なんか、まだまだです」
では、と響也は少し麻衣を覗き込む仕草を見せた。
「私個人の魅力では、ないんだ? 飛鳥グループの潤沢な資産が目当て、なんだ?」
「それは違います!」
思わずソファから立ち上がりかけた、麻衣だ。
「響也さんは、すごく素敵な方で! あの、その、初めてあった方なのに! 僕……!」
すとん、と腰を落として、麻衣はうつむき赤くなった。
「恋を、しました。多分……」
その言葉に、響也は笑顔になった。
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