31 / 230
第七章・2
「解った。約束しよう」
響也は、麻衣の髪を優しく撫でた。
「今日、この時から。早乙女 麻衣は、飛鳥 響也の婚約者だ」
「ありがとうございます」
途端に、ホッとした表情になる麻衣が、健気だ。
その隙を突き、響也は三度目のキスを、麻衣に贈った。
今度は、深い大人のキス。
響也の舌は麻衣の唇を割って、その咥内に忍びこんだ。
「……!」
驚いて目を見開き、身を固くする麻衣の心の中が、見えるようだ。
(婚約者になったからには、容赦しないよ?)
ゆったりと麻衣の舌を絡めとり、味わう。
だが麻衣の舌は動かず、ただ響也に愛撫を任せるだけだ。
彼が唇を静かに離した時、麻衣はただ熱い息を吐くしかなかった。
「どうかな。これが、本当のキスだ」
「ふぅ、はぁ……」
「では。続きをしようか」
「え。続き、って」
考える間もなく、麻衣は響也に抱きしめられた。
ともだちにシェアしよう!