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第十四章・2

 哲郎の口から、愛という言葉を聞いて、麻衣はふと考えた。 (僕は確かに、響也さんのことが好きだけど)  それは、愛なのだろうか。  まだ、憧れに近い気持ちのような感触だ。 『それから。具体的に言えば、響也がリードしてくれるだろうから、君は安心してリラックスしていればいい』 「子羊のように、ですか?」 『うん。だけど、あいつが妙に変態的なことを要求して来たら、きちんと断るんだ』 「へ、変態的?」 『怪しい衣装を着せたり、おかしな道具で責めたり、変な薬を使ったり』  麻衣は真っ赤になって、うろたえた。  響也さんは、そんなプレイをするような人には思えないけど!  ウブな麻衣を、哲郎は明るく笑った。 『まあ、初めての君をいじめるような真似は、しないだろう』 「そう願います」

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