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第十四章・5

 麻衣をベッドに横たえ、響也は静かにささやいた。 「キスをしても、いいか?」 「はい」  二人の唇は、ゆっくりと重なった。  それまで穏やかだった響也だが、口づけで雄弁に語り始めた。  深く交わり、舌で麻衣の唇をなぞる。  彼の思いを読み取った麻衣が薄くそこを開くと、すぐに舌が忍び込んできた。  惑うようにさまようかと思えば、敏感な上あごの裏をくすぐる。  麻衣の舌を素通りするかと思えば、柔らかく絡みついてくる。 「……ぅん、ん。はぁ、うぅ、んん……」  キスの合間にこぼれる声を、麻衣は抑えることができなかった。  薄く開いた唇からは、いつの間にか響也は去っている。  代わりに下へと降りていき、オープンカラーのパジャマをはだけて、首筋を愛撫していた。  軽く吸っては、なだめるように舐め、時には優しく歯を立てる。  そうしながら、ボタンを一つひとつ外している。 「ん、ぅあ、あ。響也、さん、ん……」  気が付いたら麻衣は、裸になっていた。 「さぁ、麻衣。パーティーの夜の続きだ」 「は、はい……」  響也の指腹が、ピンクの乳輪をそっとなぞった。 「ん、あぁ!」  途端に、びくんと跳ねた麻衣に、穏やかな声がかけられる。 「大丈夫か? 嫌なら、すぐにやめるから」 「僕。僕、平気です」 「じゃあ、今夜は子羊にならないでくれよ?」 「はい……」  響也の唇が、舌が、麻衣の敏感な胸を弄り始めた。  初々しい蕾が、花開く時が始まっていた。

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