71 / 230
第十五章 初めての二人
エアコンのAIが、静かに設定温度を下げた。
響也と麻衣、二人の織りなす熱に、室温がやや上がったのだ。
「可愛いよ、麻衣。君は本当に、素敵だ」
「あ、あぁ。はぁ、あぁ、うぅ……。響也さん……!」
響也の手のひらが、指が。
唇が、舌が、歯が、麻衣の胸をさまよう。
真っ白い磁器のような彼の肌は、今はうっすらと桜色に染まっていた。
「あ、あ……。あぁ!」
ひくんと麻衣は引き攣り、温かな精をこぼした。
もう、これで三度目だ。
響也は、彼の敏感な体を喜び、また心配もした。
(やはり麻衣は、初めてなんだ。あまり深く長い前戯は、避けよう)
達して息を荒げる麻衣が呼吸を整える間に、響也はルームウェアのポケットからチューブを二つ出した。
「麻衣。これは、ローションだ。いわゆる潤滑剤で、私が滑らかに君の中に挿入る手助けをしてくれる」
「はい……」
横になったまま、胸を上下させながら、麻衣は返事をした。
(僕、いよいよ響也さんと一つに……!)
だが響也は、そのローションではなく、もう一つの方のチューブをひねっている。
とろりとした、液体が出て来た。
(響也さん? ……それは。それは、何ですか!?)
麻衣は、哲郎の言葉を思い出していた。
ともだちにシェアしよう!