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第十六章・3
「私も嬉しいよ。よく、受け入れてくれたね」
「はい」
幸せそうな麻衣の表情に、響也はうなずいた。
「では、動くよ」
「え?」
「麻衣。『え?』って、何だ」
「動く、って。響也さん、動くんですか? なぜ?」
それは、と響也は困ってしまった。
おそらく麻衣は、挿入しただけで射精できると思っているのだろう。
(哲郎のやつ! 御大層な口を利く割には、麻衣に性教育もしていないのか!)
ここにはいない麻衣の担当医を呪っても、仕方がない。
響也は、麻衣の幸せな心地を壊さないよう、そっと緩やかに腰を動かし始めた。
「動く、とは。こういう、ことだよ」
「あ! んんッ! や、ちょっと、待っ……!」
響也の動きと共に泡立ち始める快感に、麻衣は次第に飲まれていった。
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