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第十八章 見守られながら育つ恋

 残念ながら、初めての響也と麻衣の一夜では、子どもは授からなかった。  しかし、それでも響也は、忙しいスケジュールの合間を縫っては、麻衣との時間を大切にしていた。  そんな二人の仲に手ごたえを感じ、一室で秘密会議を開いている男たち三人がいる。  麻衣の専属執事・岩倉と、医師・哲哉、そして響也の専属執事・服部だ。 「麻衣さまは、これまでの婚約者様たちとは、違います。実に、稀有な存在であられます」  興奮気味に、そう話すのは岩倉だ。 「明らかに、響也さまは麻衣さまに、強い好意を抱いておられます」  でなければ、こうも頻繁に麻衣さまを訪ねたりはされません、と。 「確かに。妊娠の可能性が低い時期にもかかわらず、麻衣くんの寝室へ行ったことは、あいつにしては珍しい」  腕を組んでうなずくのは、哲郎だ。 「麻衣くんを、単なる赤ちゃん製造機とは見ていないようだ」  彼を、大切なパートナーとして考えている、と。 「スケジュールを組み直してまで、麻衣さまとのお時間を作られる。これまでには、見られなかったことです」  こぶしを握りしめ、熱く語るのは服部だ。 「お食事をカットされたり、睡眠時間を削られたり。ご自分を犠牲にしてまで、麻衣さまに会いに行かれる」  何より麻衣さまを一番に、お考えであられる、と。  三人はうなずきあった。

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