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第十八章・4

 三人の男たちが自分について話しているとはつゆ知らず、響也はその時屋敷内のプールサイドにいた、  いつもは朝食前にひと泳ぎする習慣を持つ響也だが、麻衣がこんな可愛らしいことを言うのだ。 「実は僕、泳げないんです」  それではコーチをしてあげようと、麻衣の時間に合わせて、この温水プールに来ているのだ。 「すみません、遅くなりました」  ようやく現れた麻衣に、響也の目は釘付けになった。  上下セットの、空色のラッシュガード。  上が半袖、下が膝上なので、普段のスーツ姿より露出が多い。  ぴったりフィットした素材なので、体の線がきれいに見て取れる。  まるで若鮎のような美しい麻衣の姿に、響也は思わず見蕩れてしまった。 「響也さん?」 「え? あ、いや。うん、まずは、お手本を見せよう」  照れ隠しに、響也は素早く飛び込み台からプールへとダイブした。

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