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第十九章 クリスマスがやって来る!

 12月に入り、街はすっかりクリスマスムードを纏っている。  この豪華な響也の屋敷もまた、絢爛な装いをするのだろうと、麻衣は考えていた。  ところが、一向にその気配がない。  ツリーも、オーナメントも、イルミネーションも、何も屋敷内外に見られないのだ。 「岩倉さん。響也さんは、クリスマスをお祝いされないのですか?」 「は、はい。それは、その……」  珍しく口ごもる、岩倉だ。 「響也さまは、あまりクリスマスを、お好きではあられませんので……」 「そうですか」  確かに、本来の宗教的な意味合いからは、かけ離れたところもある、この国のクリスマス事情だ。  響也さんは、派手に騒ぎ立てることが、お嫌いなのだろうな。  そんな風に、麻衣は思った。  だが、響也の心中は、麻衣の考えとは大きく異なっていた。

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