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第ニ十章・3
初めての夜は、朝まで麻衣と過ごした響也だったが、その後は自室に戻るようにしている。
今夜も、後は徹夜で執務だ。
「昼間、君と一緒にツリーの飾りつけをしてしまったからなぁ」
その分の時間は、睡眠時間を削って埋め合わせる。
屈強な、アルファの肉体を誇る響也だからこそできる、不摂生だ。
常人が真似をすれば、たちまち体を壊す。
そんな無理だったが、響也は不快に思ってはいなかった。
「楽しかったよ、麻衣。クリスマスツリーを飾るのは、あんなにワクワクすることなんだな」
安らかな寝息を立てる麻衣に、響也は微笑みかけた。
そして、袖をしっかり握っている麻衣の小さな手を、そっと離した。
「すまない。私は、仕事に戻らないといけない」
寝室を出ると、そこには猫のミドリが座っていた。
「ニャァ」
「ミドリ。私を責めるのか?」
猫は何も言い返さずに、するりとドアの隙間から寝室へ入って行った。
「代わりにミドリが、一緒に寝てくれる、か」
響也は肩をすくめ、足音を立てないように麻衣の部屋から出て行った。
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