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第二十一章・5
「響也、よく来てくれたな! そして、麻衣くん。初めまして!」
わざわざ屋敷外のポーチまで、孝弥は出迎えに来てくれていた。
そして、その傍には美しい女性がいる。
「響也さん、嬉しいわ。麻衣くんも。寒いでしょう、早く中へ」
彼女は、孝弥のパートナーだ。
仲睦まじい夫婦の間には、まだ幼い娘が二人いる。
特別に暖炉を設けてあるリビングへ通ると、賑やかな子どもたちがお行儀よく挨拶をくれた。
「こんばんは、響也さん!」
「メリークリスマス、麻衣さん!」
「こんばんは。ちゃんと、響也さん、って呼んでくれたね」
「だって。響也おじさま、って言ったら、怒るんだもん!」
笑い声が弾け、アットホームな空気でいっぱいだ。
やがて、響也の弟家族も到着し、飛鳥家の団らんクリスマスパーティーが始まった。
温かい食事を味わい、愉快な会話を楽しみながら、麻衣は時々響也の横顔をうかがっていた。
その笑顔は、作り笑いではない。
それには安堵したが、どこか寂し気な表情だ。
(響也さんのお兄様たちには、お子様がいらっしゃる)
だけど、響也さんには、いない。
(だから、辛いのかな。寂しいのかな、響也さん)
そう思うと、明るい子どもたちの声が、少し憂いを運んできた。
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