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第二十三章・3
「そうだ。今から二人で、出かけたらどうだ? 響也、何か麻衣くんが欲しいものを、買ってやれよ」
クリスマス・デートだ。
「で、デート!?」
響也と麻衣の声が、見事にシンクロした。
「何だなんだ、二人そろって。初デート、行って来いよ」
「デート、か」
「デート、ですね」
そう考えると、ワクワクしてくる二人だ。
「よし。すぐに、車を用意させよう」
そう言う響也に、哲郎は何かを投げてよこした。
反射的に受け取ったそれは、自動車のキーだ。
「デートなんだから、お前が自分で運転しろよ。俺の愛車、貸してやる」
「いいのか?」
「国産だけど、よく走る。ぶつけるんじゃないぞ?」
「ありがとう」
では、と響也は麻衣に腕を差し出した。
頬を染め、麻衣はその肘あたりに手を絡ませた。
「哲郎先生、ありがとうございます。行ってきます!」
哲郎の見送る中、二人は浮き浮きとガレージに向かった。
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