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第二十四章・5
麻衣が身につけているのは、あの銀のバングルひとつだけ。
素裸の彼を愛撫しながら、響也はその姿にひどくエロスを感じていた。
何か、秘密の儀式めいた、興奮。
シルバーは、古来より破邪のお守りとして使用されてきた金属だ。
そして、空色の石・ターコイズ。
それは、人と人との絆を深めてくれる宝石。
スピリチュアルは信じない響也だが、麻衣に贈ったこのバングルには、思いを込めずにはいられなかった。
どうか、この世の悪いことから、麻衣を護ってくれますように。
どうか、私と彼との絆が、よりいっそう深まりますように。
麻衣の呼吸が、速く荒くなってきた。
「う、うぅ、あ。はぁ、はぁ、あぁ……ッ」
「麻衣……」
彼の体に自らを埋め込みながら、響也は誓っていた。
(いや、金属や石に頼るのではなく。この私が、麻衣を守ろう。絆を深める努力を、しよう)
「ああ、あぁ! 響也、さん!」
「少し、奥まで挿れるよ」
響也は初めて、麻衣の最奥まで腰を進めた。
「う、あぁ。こ、こんなトコまで……」
「痛くはないか? 吐き気は?」
「大丈夫、です」
麻衣は、笑顔だ。
初めて横たわる響也のベッドで、麻衣は喜びを噛みしめていた。
もう一度、初めてを捧げる新鮮さを、味わっていた。
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