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第二十五章・2

 体を清めてパジャマを身に着け、二人は向かい合わせで横になった。 「僕、嬉しいです」 「ん? 何が、かな?」  麻衣は、響也の袖を握った。 「このまま、朝を迎えられることが」  そんな麻衣の手を、響也は優しく包んだ。 「今まで、寂しい思いをさせてすまなかった」  明日の朝に目覚めると、麻衣の隣には、私がちゃんといるよ。  そう、約束した。  麻衣は、響也の手を引き寄せて、頬を擦り付けた。 「すごく、嬉しいです。僕……」 「安心しておやすみ、麻衣」  うっとりと瞼を閉じる、麻衣の安らかな顔。  響也はそれを見届けると、彼の髪を数回撫でた。  そうするうちに、静かに眠気がやって来た。 「もう、この睡魔と戦う必要はないんだな」  麻衣を抱いた後も起き出し、執務に戻っていた日々が嘘のように、穏やかな気持ちだ。 「おやすみ、麻衣」  もう一度そう挨拶をし、響也も眠りに落ちて行った。

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