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第二十五章・3
翌日、朝食の席。
響也と麻衣は、傍に控える執事の服部、岩倉と共に考え込んでいた。
「私は、朝食の前にスイミングをする習慣があったのだが。麻衣をそれに付き合わせるのは、どうかと思うんだ」
「そうですな。お二人は、年齢も体格も、第二性も違われますので」
「でも僕は、なるべく響也さんのスケジュールを尊重したいんです」
「麻衣さまのお気持ちは解りますが、ここは赤井先生の判断も必要かと存じます」
うん、と一同うなずき、朝食後に哲郎のいる医療スタッフルームへと赴いた。
「食前に泳ぐのは、良いことだ。麻衣くんも、響也に付き合うといい」
哲郎は、結論から述べた。
「でも、僕は泳げないんです」
「それなら、水中でウォーキングをするといいよ」
腰に浮き具かアクアヌードルを着けて、できる範囲で。
「慣れてきたら、歩く距離を長くしていく。これは、結構な運動になるよ」
そして、響也は。
「自分だけぐるぐる泳いでないで、時には麻衣くんの様子を見に行くといい」
「解った。必要ならば、麻衣専属のスイミングコーチを付けるが……」
そこで哲郎は、呆れた、といった表情をした。
「馬鹿だなぁ。響也に教えてもらうことにこそ、意味があるんだ」
ね、と麻衣を見ると、彼は大きくうなずいた。
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