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第二十五章・5
「乗馬を、久しぶりにやろうか。麻衣は動物が好きだし、ぴったりだと思う」
「乗馬!」
「それから、麻衣が泳げるようになったら、南の海へダイビングをしに行こう!」
「ダイビング!」
「もの作りは、陶芸なんかどうだろう。作品が焼き上がるのを待つ時間は、ワクワクするぞ?」
「陶芸!」
次から次に繰り出される響也の提案に、麻衣は目を輝かせた。
「僕、楽しみです!」
「私もだよ!」
二人、手を取り合ってピョンピョン跳ねた。
がんばって、早く泳げるようになりますね。
そう張り切る麻衣の笑顔を、響也は眩しく見ていた。
(ああ、人生はこんなにも輝きに満ちていたものなのか)
それは少し大げさに思われたが、素直な気持ちだった。
「では、麻衣。さっそく馬場へ行ってみよう」
「もう、ですか!?」
「飛鳥家の敷地内に、馬場が設けてあるんだ。馬に、ニンジンをプレゼントしに行こう」
「はい!」
二人のスローライフが、始まった。
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