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第二十六章・3
無事に門松を完成させた麻衣は、早乙女の父親に電話をかけていた。
何かと息子の身を心配する父とは、毎日メールを交わしている。
しかし、電話は久しぶりだ。
「私は、ここにいてもいいのかい? 席を外そうか?」
「いいですよ、響也さん。特に不審な会話はありませんから」
コール音の後、父はすぐに応答してくれた。
『もしもし。麻衣か? どうかしたのか? 元気なのか?』
「お父様、ったら。僕は、元気に決まってます」
『風邪をひいたり、意地悪をされたりしては、いないんだな?』
「大丈夫です」
ご報告があります、との麻衣の言葉に、父親は緊張した。
まさか。
飛鳥さんの家を、一年を待たずして追い出されるのでは!?
しかし、息子の言葉は良い方に裏切られた。
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