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第二十六章・4

「僕、新年のお年賀で、響也さんと飛鳥の本家に、ご挨拶に行くことになりました」 『それは、本当か!?』 「ご両親に、紹介してくださるそうです」 『良かった……。良かったな、麻衣……!』  噂によると、これまで響也と婚約を交わした令嬢たちは、誰一人としてその両親に紹介されることがなかったという。  子どもができたら、正式に紹介する。  これが、響也の方針だったらしい。 『と、いうことは。麻衣、赤ちゃんができたのか!?』 「いいえ。残念ながら、それはまだなんですけど」 『そうか。では、なぜご両親に紹介を?』  そこで、響也は麻衣に手を差し出した。  うなずき、自分で自分を指さしている。  電話を替わって欲しい、と言っているのだ。  麻衣も首を縦に振り、携帯を響也に渡した。

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