128 / 230
第二十六章・4
「僕、新年のお年賀で、響也さんと飛鳥の本家に、ご挨拶に行くことになりました」
『それは、本当か!?』
「ご両親に、紹介してくださるそうです」
『良かった……。良かったな、麻衣……!』
噂によると、これまで響也と婚約を交わした令嬢たちは、誰一人としてその両親に紹介されることがなかったという。
子どもができたら、正式に紹介する。
これが、響也の方針だったらしい。
『と、いうことは。麻衣、赤ちゃんができたのか!?』
「いいえ。残念ながら、それはまだなんですけど」
『そうか。では、なぜご両親に紹介を?』
そこで、響也は麻衣に手を差し出した。
うなずき、自分で自分を指さしている。
電話を替わって欲しい、と言っているのだ。
麻衣も首を縦に振り、携帯を響也に渡した。
ともだちにシェアしよう!