130 / 230
第二十七章 麻衣の明るい頼もしさ
1月1日元旦は、きれいに晴れた。
澄み渡った青空が、新年を祝福しているかのようだ。
「僕、何だか二日続けてお正月を迎えている気がします」
大晦日の昨夜は、響也と二人で、カウントダウンの打ち上げ花火を観に行ったのだ。
賑やかな人ごみと、華やかな花火。
彼と共に過ごした時間は、麻衣にとって特別な一日だった。
そんな麻衣の笑顔は、今日は何だか眩しく響也の目には映る。
「正真正銘の元日だよ、麻衣」
そうですね、と麻衣は響也に改まって挨拶をした。
「明けましておめでとうございます、響也さん。今年もよろしくお願いします」
「新年おめでとう、麻衣。今年もよろしく」
軽く朝食を摂った後、二人は外出の支度をした。
いよいよ、本家へ挨拶に行くのだ。
緊張した面持ちの麻衣の額に、響也はそっとキスをした。
「大丈夫。私がついてる」
「はい」
約束は、10時。
午後になると、身内以外の人間が大勢訪ねて来るだろうからと、両親はこの時刻を指定したのだ。
麻衣を励ました響也だったが、彼自身も緊張していた。
(お父様もお母様も、麻衣を気に入ってくださるといいが)
それでも明るい笑顔は絶やさずに、自動車に乗り込んだ。
ともだちにシェアしよう!