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第二十七章 麻衣の明るい頼もしさ

 1月1日元旦は、きれいに晴れた。  澄み渡った青空が、新年を祝福しているかのようだ。 「僕、何だか二日続けてお正月を迎えている気がします」  大晦日の昨夜は、響也と二人で、カウントダウンの打ち上げ花火を観に行ったのだ。  賑やかな人ごみと、華やかな花火。  彼と共に過ごした時間は、麻衣にとって特別な一日だった。  そんな麻衣の笑顔は、今日は何だか眩しく響也の目には映る。 「正真正銘の元日だよ、麻衣」  そうですね、と麻衣は響也に改まって挨拶をした。 「明けましておめでとうございます、響也さん。今年もよろしくお願いします」 「新年おめでとう、麻衣。今年もよろしく」  軽く朝食を摂った後、二人は外出の支度をした。  いよいよ、本家へ挨拶に行くのだ。  緊張した面持ちの麻衣の額に、響也はそっとキスをした。 「大丈夫。私がついてる」 「はい」  約束は、10時。  午後になると、身内以外の人間が大勢訪ねて来るだろうからと、両親はこの時刻を指定したのだ。  麻衣を励ました響也だったが、彼自身も緊張していた。 (お父様もお母様も、麻衣を気に入ってくださるといいが)  それでも明るい笑顔は絶やさずに、自動車に乗り込んだ。

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