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二十九章 義母からのエール
飛鳥本家と、早乙女家。
二つの年始を終えて、響也と麻衣は我が家へと帰った。
もう時刻も遅かったので、軽い夕食を済ませて、二人の部屋へ戻った。
「疲れただろう、麻衣。バスを使うといい」
「響也さん、お先にどうぞ」
「いいのか?」
「ミドリが、すねてます。少し遊んであげないと」
響也は笑いながらバスルームへと向かい、麻衣はリビングのソファで猫を抱いた。
そこへ、ドアをノックする音が。
「はい? どうぞ」
入って来たのは、麻衣の専属執事・岩倉だ。
手に、携帯電話を持っている。
「麻衣さまへ、お電話です」
「どなたですか?」
「それが。本家の奥様からです」
「えっ?」
驚いた麻衣に、岩倉は小声でわびた。
「実は、響也さまのバスタイムを狙って、こちらから電話を掛けるように、指示されておりました」
僕一人の時に、お話しを?
その内容に少し不安を感じながら、麻衣は端末を手にした。
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