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第三十七章・2
「これは一体……」
「雨の日の、お出かけグッズです」
包みから出てきたものは、レインコートに、レインブーツ。
そして、大きなアンブレラ。
「これで、楽しく外に出られますよ!」
「参ったよ、麻衣」
雨の中、ウォーキングと洒落込もう。
雨具を身に着け、二人は屋敷の外へと繰り出した。
決して激しくはないが、絶え間なく降り続く雨。
まるで、水のカーテンだ。
「麻衣……」
「何ですか?」
「あ、暑い……」
常日頃から、冷暖房はもちろん、湿度も快適に完備された屋内にいる、響也だ。
この暑さと高い湿度は、未知のものに近かった。
しかし、そんな響也の様子を、麻衣は嬉しく思った。
いつも背筋を伸ばし、堂々としている、飛鳥グループの社長。
そんな彼が見せてくれた弱気を、喜んだ。
共に暮らすようになって、もう半年以上経つ。
今では、その素顔を隠すことなく晒してくれる響也が、嬉しいのだ。
「響也さん、耳を澄ましてください。いろんな音が、聞こえてきますよ」
「音、かい? 雨音以外、何も……」
それでも響也は、麻衣の言う通り、耳をそば立てた。
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