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第三十七章・4
僕は歌う 雨の中で
ただ歌う 雨の中で
なんて素敵な気分
幸せがこみあげる
「本当に。最高に、素敵な気分だ」
「雨の中を躍り出すのは、無しですよ?」
風邪をひいてしまいますから。
笑顔で心配してくれる麻衣が、優しい。
ただ、彼の笑顔が素敵で。
ただ、彼の優しさが幸せで。
そっと、抱きしめた。
「麻衣。愛してるよ」
「愛してます。響也さん」
二人の言葉は、雨音に遮られることなく、真っ直ぐに心へと届いた。
抱き合うと、互いの心音が伝わってくる。
柔らかな雨音の中、力強く拍動する、愛だ。
抱き合い、寄り添い、時を雨と楽しんだ。
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