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第三十八章・2

 早朝、まだ日が昇りきる前に、麻衣は白い砂浜を訪れていた。  飛鳥家のプライベートビーチであるこの海は、漂着ゴミも毎日片づけられて綺麗だ。  しかし、まだ清掃の行われていない早朝は、わずかながら打ち上げられた物がある。  麻衣は、美しい貝殻を探しながら、それらのゴミも拾っていた。 「そんなペットボトルなど、清掃スタッフに任せておけばいいのに」 「でも僕、一週間お世話になったこの海に、恩返しがしたいんです」  今日は、この地を立ち去る日。  楽しい思い出をたくさんくれた海に、麻衣は心から感謝していた。 「麻衣らしい考えだな。また一つ、君の素敵な一面を見せてもらったよ」 「いいえ。響也さんこそ、僕をここへ連れてきてくださって、ありがとうございます」  そんな優しい会話を交わしながら、二人は静かな浜辺を歩いていた。 「それにしても、様々な種類のゴミがあるな」 「そうですね」  ペットボトルに、レジ袋。  ライターに、食品トレーに、ビーチサンダル。  そして麻衣は、ガラス瓶を見つけた。

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