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第三十八章・4
この手紙を読んでくれた、あなた。
今、幸せですか?
私は、とても幸せです。
今朝、愛しい我が子が生まれたのです。
手紙があなたの目に触れた時、この子は一体何歳なのでしょう!?
私はただ、その時我が子が幸せな人生を歩んでいることを望みます。
そしてあなたにも、素晴らしい幸せが訪れますように!
「何と、1987年7月、と記してある」
「僕、まだ生まれてません!」
「この手紙の赤ちゃんは今、36歳か。私より、年上だぞ」
「すごい。感動です……!」
良いものを拾った、と麻衣は頬を染めて喜んだ。
「お返事を、書きたいです。アドレスは、ありますか?」
「残念ながら、返信先は書いてないなぁ」
心から溢れ出す歓喜を、抑えることができなかったんだろうね。
そう、響也は言った。
「世界中の人々に、叫びたかったんだろう。きっと」
うんうん、と首を何度も縦に振り、麻衣はメッセージボトルを大切に、貝殻と共に収めた。
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