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第四十章・2

 尋問中に、花火の上がる音や、歓声が聞こえてくる。  麻衣自身は、無事だったのだ。  良かった良かったと、そこで話を終わらせれば、花火をゆっくり見物できた。  しかし、麻衣はそうしなかった。  警察官を呼び、犯罪者を逮捕するように、願った。 「もう二度と。僕と同じような目に遭う人を、つくらないでください」  きっぱりと言い、悪を許さない態度を取った。 「我々は、人員を増やして会場内を捜索します」 「まだこの辺りを、うろついているかもしれませんからね」  警察官たちは麻衣に協力の礼を言い、その場から離れて行った。 「偉かったな、麻衣」 「響也さん……」  彼らの姿がいなくなった途端、麻衣はその場にしゃがみ込んでしまった。 「だ、大丈夫か!?」 「怖かった。怖かったです、僕……!」  響也も腰を落とし、その勇敢な小さな体を包み込んだ。 「もう、大丈夫だ。私が、ついている」 「響也さん……、響也さん!」  麻衣は必死で彼にしがみつき、震えていた。

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