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第四十二章・2

 ダイニングの大きなテーブルには、スウィーツや果物がずらりと並んでいる。  ドリンクは全て、ノンアルコールだ。 「今夜は、子どもたちが主役のパーティーですから」  そう言って、響也は朱泥の急須を傾けた。  薫り高い煎茶が、両家の年長者に振舞われる。 「響也さんが、手ずからお茶を淹れてくれるなんて」 「初めて、だなぁ!」  これまでの息子なら、バリスタにお任せのところだ。  夫婦は、響也の心からのもてなしを喜んだ。  茶菓子は、麻衣の手から渡された。 「和三盆糖の、干菓子です」  その落ち着いた所作は、麻衣の父を驚かせた。 「すっかり、大人の仕草が身に着いたな」  子どもたちが好む洋菓子だけでなく、控えめな甘さの和菓子や、それに合わせた茶を準備している心遣いも、見事だ。  離れて、子どもたち相手にビンゴゲームを始めた響也と麻衣を眺めながら、夫婦はしみじみと語った。 「響也のやつ、見違えるように成長しおった」 「そうですわね。あんなに、身勝手な子だったのに」  それをおっしゃるなら、うちの息子もですよ、と麻衣の父が目を細めた。 「世間知らずで、甘えん坊で。そのくせ、無鉄砲な子どもでした」  微笑み合い、うなずき合いながら両家が思うところは、同じだった。 『本当に、似合いの二人だ』  しかし一方で、こうも思う。 『子どもは、まだ授からないのだろうか』  タイムリミットは、刻一刻と近づいていた。

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