210 / 230
第四十三章 無心に愛したくて
浴室とガラスのドアで仕切られた、スチームサウナの楽しめるルームに、響也と麻衣は足を踏み入れた。
室内は、程よい状態だ。
バスルームは、二人が使うことを見越して、毎日屋敷の使用人が前もって準備をしてくれている。
サウナは使わない日もあるが、それでもきちんと温度湿度を整えてあるのだ。
スチームルームの最も快適な入浴温度は、40~45℃と言われている。
しかし、これから二人は、どんどん熱く火照っていく。
たやすく見通せる、近い未来。
響也は、すでに温度湿度の高い室内のパネルを操作し、ジェネレーターをオフにした。
ミストは止まったが、アロマの香りは、ここにしばらく留まるだろう。
その香りをかき分け、響也と麻衣は抱き合った。
積極的に唇を割り、舌を絡めて来たのは、麻衣の方だった。
「ん、ぅん。……っふ、ん、う。んん……」
細く高く、小さな声で啼きながら、響也の咥内を愛撫する。
しかし、やがてそれすらもどかしいと言った様子で、彼は肩に近い首筋を噛んだ。
ともだちにシェアしよう!