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第四十三章 無心に愛したくて

 浴室とガラスのドアで仕切られた、スチームサウナの楽しめるルームに、響也と麻衣は足を踏み入れた。  室内は、程よい状態だ。  バスルームは、二人が使うことを見越して、毎日屋敷の使用人が前もって準備をしてくれている。  サウナは使わない日もあるが、それでもきちんと温度湿度を整えてあるのだ。  スチームルームの最も快適な入浴温度は、40~45℃と言われている。  しかし、これから二人は、どんどん熱く火照っていく。  たやすく見通せる、近い未来。  響也は、すでに温度湿度の高い室内のパネルを操作し、ジェネレーターをオフにした。  ミストは止まったが、アロマの香りは、ここにしばらく留まるだろう。  その香りをかき分け、響也と麻衣は抱き合った。  積極的に唇を割り、舌を絡めて来たのは、麻衣の方だった。 「ん、ぅん。……っふ、ん、う。んん……」  細く高く、小さな声で啼きながら、響也の咥内を愛撫する。  しかし、やがてそれすらもどかしいと言った様子で、彼は肩に近い首筋を噛んだ。

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