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第四十六章・3
響也の本社は、屋敷とはそう遠くない場所にある。
車に乗り込み、1時間もかからず到着することができた。
「今日は少し、渋滞していたので遅くなったな」
そのうえ、飛鳥家の広い領地内を走るのに、時間がかかる。
まあ、それは仕方のないことだろう。
そんな風に、他愛もないことを漫然と考えていたので、響也は全く油断していた。
ゆるゆるの精神状態で、車から降りた。
そこに、派手な音のクラッカーがいくつも鳴らされ、彼はひどく驚いた。
「何だなんだ!?」
「響也さま、お誕生日おめでとうございます!」
普段の出迎えの3倍ほどは、使用人たちが集まっている。
手の空いている者は、全員集合しました、といった風だ。
みんなクラッカーを手にして、笑顔だ。
あの生真面目な執事の岩倉や服部までもが、クラッカーを持っていた。
「ニャァ」
「ミドリまで!」
だが、響也が本当に驚くのは、これからだった。
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