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「は?」  かわい過ぎるその反応にドキッとしながらグラスを手にすると宮部はモゴモゴとよく聞こえない言葉を発した。 「聞こえねぇよ」  一口飲んでグラスを置くと宮部はフルフルと首を振る。  目を細めて腰を上げると回り込んで宮部に顔を寄せた。  慌てた宮部が逃げようとするのを捕まえると鼻の頭をくっつけてじっと見つめてやる。 「ちゃんと言わねぇとキスするぞ?」 「え、ちょっ……」  仰け反って逃げようとするのを抱き締めてやると宮部は俺の肩口で身を縮めた。 「……二人きりなんて……」 「は?」 「ずっと……村瀬くんと二人きりで生活するなんてドキドキするし……き、緊張して眠れなくて」 「……無理。キスさせろ」 「なっ、何でだよっ!!」  顔を寄せると、宮部が俺の顔面を両手で必死に押さえてくる。  俺との新生活を意識して、緊張して寝不足だったなんて……キスどころか押し倒したい案件だ。  期待しまくっていた初夜(?)が空振りに終わってモンモンとしながら迎えた朝にコレだぞ!? 「……本当に……」  真っ赤な顔で思いっきり眉を寄せるその顔を見た俺はフーっと長い息を吐き出した。  若干反応しているモノを誤魔化すように少し前屈みになって宮部を見下ろす。 「これで我慢しとくから……早く食って挨拶行くぞ」  その頬に軽く唇が触れる程度のキスをして俺は元の場所に戻った。  オアズケももうここまで来ると宮部を欲情させてからにしたくなるから困ったもんだ。 

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