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「あ、まんま反対だ」 「何が?」  一人ならと一緒に夕飯をと誘ってもらった俺は雄吾さんに続いてリビングに入って思わず呟くと、雄吾さんは振り返って不思議そうな顔をした。 「間取りが反対ってことだろ?うちは階段上って左がリビングだけど琉生くんちは右がリビングってこと」  軽く笑いながらリビングに入ってきた創介さんはそのまま手前の部屋に荷物を置くとグッと伸びをする。 「俺も何か手伝い……」 「料理できんの?」 「簡単なものしか無理ですけど」  創介さんがキッチンに入って行くのを見てただご馳走になるのは申し訳ないと口を開くと、創介さんは笑いながら雄吾さんを見た。 「俺は料理のセンスねぇんだよ!」  ムッとしながらトートバッグを投げ捨ててベランダに出て行く雄吾さんを見て創介さんは笑いを堪えながら手を洗う。 「悪いけど、雄吾が洗濯物取り込みに行ったから手伝ってやってくれるか?あいつびっくりするくらい不器用だから」  言い合いつつも何だかんだ仲のいい二人は見ているだけでちょっと羨ましい。  幼なじみで物心つく前から一緒らしいけど、お互いをよくわかっている感じで俺の理想でもあった。  俺と宮部にはまだない遠慮のなさ……少しずつ俺たちもあぁなっていけるのだろうか。

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