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 めちゃくちゃうまい飯をご馳走になって、さすがにと皿洗いをやらせてもらう間、雄吾さんはカウンターの向こうのイスに座ってにこにこと笑っていた。 「ダイニングセット買うよりよさそうですよね」 「んー?このイス?創介が作りながら料理とか出してくれて、俺がここで飲むのが最っ高ー!」  笑顔の雄吾さんの顔があまりにも幸せそうで俺もつい笑ってしまう。 「酒好きなんですか?」 「うちの実家が酒屋でな?今度のお盆に帰省した時はほぼ決定の打ち合わせして秋からは改装始めるんだよ!」  いまいち会話が噛み合っていない気がして返答に困っていると、座ってノートパソコンを開いていた創介さんが立ち上がって手にした教科書で思いっきりその頭を叩いた。 「痛って……」 「お前、もう飲んでんの?」 「お前が飲むな!つったんだから飲んでる訳ねぇだろーが!」  笑顔から一転、一気に空気が変わる。 「こいつバカだからよくわかんなかったよな。俺ら卒業後は地元戻って改装終わった雄吾ん家の酒屋を継ぐんだわ」 「え!そうなんですか!」  雄吾さんたちにとってはもう一年もない未来の話かもしれないけど、俺からしたらめちゃくちゃ大人な会話に聞こえた。 「そー!販売もするけど、そっちは親父に任せて……俺と創介は一品料理と酒を組み合わせて提供すんの!」  今も毎日一緒で卒業後も二人でとか…… 「羨まし……」  思わず呟いてしまったそれは水を流す音で誤魔化した。

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