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 自分の部屋の玄関を開けると、見上げる階段の向こう、リビングは電気が点いていた。 「どこ行ってた?」  リビングに続く戸を開けてキッチン前を通り過ぎながら聞くと、簡易テーブルに教科書とノートパソコンを広げていた宮部は顔を上げてメガネのズレを直す。 「……今、帰ってきたのは村瀬くんだよ?」  少ない時間かもしれないけどこいつと付き合うようになって、共に過ごしたこの二年弱の間にわかったこと。それは分厚い伊達メガネは掛けた方が見えにくいこと。  こいつがメガネをする(直す)時は照れているか、人目を避けているか、俺に言い辛い何かがあって誤魔化す時だ。  直視できない何かがある時。 「俺は隣に居たんだよ。お前が帰らないから夕飯ご馳走になって一応お前の分も……」  実家から大量に送られてきた食材の消費をとご馳走になって宮部にもと持たせてもらったタッパーを見せる。  上げたばかりのメガネを少し下げてそのタッパーを覗き込んだ宮部のつむじをじっと見下ろした。 「お前、マジでどこ行ってた?」  軽く聞きたいのに声が低くなってしまう。  とっさに身を縮めた宮部の側で膝を付くと、宮部は更にビクッと震えた。 「……悪ぃ。怒ってねぇって」  その背中に手を当ててゆっくり撫でると、少しだけ強張っていた体から力が抜ける。 「心配しただけ。どこ行ったかわかんなかったから」  撫でていた手を止めてキュッと少し抱き締めると、宮部は大人しく俺の肩に顎を乗せた。

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