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「村瀬くん、ちゅ、注文……は?」
「……お前、メガネは?」
「え?あれしてると見にくいから……色々割ったりするといけないし」
確かにそうかもしれないがおもしろくない。
あの瞳に映るのにあんなにも苦労したのにこんな簡単にメガネを外されるなんて。
「……お前違うバイトしろよ」
「嫌だよ」
まさかこんなにはっきり答えられるとは思っていなかった。
いつものように少し戸惑ってこっちの様子を窺ってくると思っていたのに。
「村瀬くん?僕、仕事中なんだよ。注文は?」
「ア、アイスティー」
「うん。ミルクね」
真剣な顔の宮部のあの瞳をしっかり見てしまってむしろこっちが押されてしまった。
にっこり笑ってちゃんと俺の好みを言っていくとか……何だ!?
ぷしゅぅとテーブルに突っ伏して赤くなったかもしれない顔を隠す。
「あの新しい店員さんもやっぱカッコいいよねぇ!」
「笑ったのかわいかった!」
隣の席からそんな会話が聞こえてきて俺は慌てて顔を上げた。
ヤバい!今までメガネで隠れていたあいつの魅力が!!
「ねぇ、琉生くんって……聖人くんがバイトするの反対なの?」
どうしたものかと考えていると、「サービス」と創介さんにいちごのジュレを置かれて俺はビクッと肩を揺らした。
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