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「聞いてる?」  顔を覗き込まれてびっくりした俺はそのままカウンターチェアから落ちて思いっきり尻を打ち付けた。 「っ痛っ……」  眉をひそめて尻を擦ると宮部は心配そうにイスから降りてくる。 「そんなお疲れ?デザートももらったけど……」  むしろ、ちょっと首を傾げるその姿にドキドキしてしまっているなんて……どうしたらいいのか。 「宮部……」  床に尻をつけたまま両腕を広げると宮部は少し顔を赤くした。  赤くなったということは……俺がどうしたいのか理解したのだろう。 「……ダメか?」  見上げたまま聞いてみると宮部は少しためらうようにしてからゆっくり膝を付いた。  そろりと近づいてくる宮部を抱き寄せたい衝動を必死に抑えてガチガチになったまま軽く覆い被さってくるのを待つ。  俺の首の後ろに腕を回して本当に僅かに触れる程度でもう体を起こそうとするのはさすがに抱き締めて止めた。 「む、村瀬……くん?」  上擦った声を出す宮部が愛おしすぎて笑いながら腕に力を込める。  宮部の胸が俺の顔に触れてバクバクと音を立てるのが聞こえて、むしろ俺は俺だけがドキドキしていないことにホッとした。 「もうちょっとだけ」  目を閉じて宮部の温もりを感じる。 「ね、僕……ちょっ、汗……かいてない?」   それを聞いて開いたシャツの隙間に見える鎖骨をペロリと舐めてやった。

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