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29、第4話「お節介」
「宮部、これも!洗濯機に残っ……」
ベランダに出るとそこには仕切りを隔てて顔を出した雄吾さんも居て俺は言葉に詰まる。
「あ、お邪魔してるぞー」
「村瀬くん、ありがとう」
雄吾さんにヒラヒラと手を振られて頭を下げると、宮部は俺の手からTシャツを持っていってパンッと皺を伸ばした。
その時に部屋からはスマホが着信音を響かせる。
「あ、僕かも」
「ミヤ、またなー」
笑顔で手を振る雄吾さんと頭を下げて部屋に戻っていく宮部を見て何かおもしろくなかった。
「……琉生くんも名前で呼ばれるのは嫌なの?」
「は?」
ベランダの手摺に組んだ腕を乗せて頭をくっつけた雄吾さんと目が合う。
「いや、ミヤは名前が嫌いって言ってたし、二人はお互い苗字呼びしてるから?」
俺はチラッと部屋の中を覗いてから置いてあるサンダルに足を入れてベランダに出た。
「お互いそうなのは……もう慣れじゃないですか?高校三年間ずっとそうだったんで」
「へぇ……二人は付き合いたて?」
「……そう見えますか?」
俺も手摺に腕を乗せて雄吾さんを見ると雄吾さんは少し考えてニヤリと笑う。
「どのくらい付き合ってるかはわかんねぇけど……身体の関係ねぇのはわかるかな?」
「そ……んなわかります?」
情けないほどに動揺してしまった。
「うん。懐かしい人を思い出す」
なのに雄吾さんはにっこりと笑う。
「は?」
意味がわからずぽかんとする俺を見て雄吾さんはまた声をあげて笑った。
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