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「ははっ!明後日の夜、暇?うちにその先輩たち来て泊まってくからさ!遊びに来いよ!ミヤも一緒に!」
歯を見せて笑われて頷きかけた俺はハッとする。
「いや、俺、バイトが……」
「終わってからでいいって!ミヤのこと心配なら琉生くんがバイト終わってから一緒に来ればいいし!な?」
大きな黒目がキラキラして見えるのは太陽の光を浴びているからか、それとも雄吾さん自身の瞳が澄んでいるからか。
「でも、お邪魔じゃ……」
「前に話しただろ?琉生くんと同じ現代社会学部の先輩だよ!それに……」
声をひそめられて俺も少しそっちに耳を寄せる。
「初心過ぎてずーっと関係進められなかった先輩だから参考になるんじゃね?」
「……っ」
やたら唾が溜まってゴクリと音が鳴った。
「やり方とかわかんないことも何でも教えてやるよ?」
ニヤリと笑われてドクンと心臓が音を立てる。
「いや……別に……」
「おうっ!知りたくなったらいつでも聞けよっ!」
ヒラヒラと手を振って笑いながら雄吾さんは仕切りの向こうに消えた。
「……やり方」
何度か検索して得た情報が一気に頭に蘇る。
「あ、お茶飲む?」
窓から顔を出して微笑んだ宮部を見るだけでも過剰なほど照れてしまった。
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