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「ただいま」
リビングダイニングに続くドアを開けると、宮部は簡易テーブルの上に置いたノートパソコンから顔を上げてこっちを見た。
「あ、お帰り。雄吾さんたちのところ行く?疲れてるならもう軽く食べて休んでもいいと思うけど?」
できるなら……寝たい。宮部を抱き締めて。
でも、それができないから聞いてみたい気もした。そのずっと初心過ぎて関係を進めていけなかったっていう先輩の話を。
「ご飯は食べるでしょ?村瀬くんの好きな手羽元のコーラ煮とクリーム春巻き作って……」
俺は立ち上がって食事の準備をしようとした宮部を後ろから抱き締めた。
「村……瀬、くん?」
ちょっと動揺した声を出して身体が一気に緊張する姿が愛おしい。
「そんなタッパーに詰めて……行きたかったんだろ?」
「いや、別に……」
「誘われて嬉しいんだろ?」
「……」
チラッとこっちを見ようとするその頬にキスをすると、宮部はカチンと固まる。
「ふっ……うっし!充電できた!行くかっ!」
宮部を解放して伸びをすると俺は笑いながら用意されていたタッパーに蓋をして腕に抱えた。
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