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 高校ではあんなに悩んだのにここはゲイカップルだらけで妙な安心感がある。  結局、酔って暴走していた雄吾さんも創介さんが優しく抱き寄せてキスをするとしばらく深く唇を合わせた。  とろんと蕩けた顔をして微笑んだ雄吾さんは創介さんの太腿に頭を乗せて穏やかな寝息を立て始める。  宮部が照れてかなりキョドっているのがわかって腰に手を回すと、ビクッとして困ったように眉を寄せた。  かわいいかよ。 「お騒がせしました」  創介さんが苦笑いをしながら頭を下げると、 「いや、お陰で莉音もちょっとくらい道具使う気にな……」 「らねぇよっ!っザけんなっ!」  大和さんの呟きに反応して莉音さんが拳をその肩に撃ち込んだ。  何か言いたそうに莉音さんを見る大和さんだが、莉音さんはプイッとそっぽを向いて鼻を鳴らす。 「……あ!にしても……」  何かを思い出したように莉音さんが顔を戻した。 「お前ら本当になの?」 「え?」 「はい」  俺と創介さんの声がカブる。  創介さんはこっちを見ると笑って缶ビールを口にした。 「まぁ、四年で居る方が色々都合よかったってだけなんで先生には話してあるし、後はゼミだけでほぼ卒業後の勉強ばっかですけどね」  ん?創介さんたちは留年……してるのか? 「知らなかったの?」  宮部を見ると逆にきょとんとされた。

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